2004年 日本NCSLI 活動報告



はじめに

2004年度の日本NCSLI の活動を、7月11〜15日に米国ユタ州のSalt lake City で開催されたNCSLI Workshop & Symposiumの参加報告と11月5日に日本NCSLI が主催して開催した「計測標準フォーラム」第2回合同講演会について報告します。


NCSLI Workshop & Symposium
2004年度のNCSLIシンポジウムは2002年度の冬季オリンピックが開催されたソルトレイクシティで行われた。ダウンタウンの北西10Kmに塩 分濃度が非常に高い湖、グレートソルトレイクがあり、町全体が山々に囲まれた美しい町である。TEMPLE SQUARE のあるモルモン教会は町の最北部の高地部にあり(写真1)、ここから緩い傾斜で町並みが南の方向に広がっている。
写真1.モルモン教会
また西南方向約30Km に、深さ1,000m の世界一深い人工の穴がある(写真2)。これは100年前から24時間休むことなく掘り続けられている銅を採掘している現場で、展示室には10年先の穴の大きさの予想図も展示されている。シンポジウムは TEMPLE SQUARE に近い Salt Palace で 7月11〜15日まで1,000 名を超える参加者を集めて開催された(写真3)。
写真2.銅山の採掘現場
筆者は温度計測関係の特別プログラムとNCSLI 地域間会議の予定が7/9,10 の午後に入っていた。そのため前日の午後に到着する予定でいたが、トラブルに見舞われサンフランシスコ空港からオークランド空港への車での移動等で、8日の深夜にようやく着くことが出来た。9日の土曜日の午前中は TEMPLE SQUARE 内を散歩し、午後は温度計測の不確かさ評価のチュートリアルに出席した。出席者は40名程で HART SCIENTIFIC 社による解説が行われた。
写真3.会場のソルトパレス
日曜日の午前中も散歩で TEMPLE まで出掛けた。写真4のように TEMPLE SQUARE では世界中からの来客に対応するため、それぞれの言語に対応するガイドのシスターがいて、見学の案内をしてくれる。
写真4.各国語別のシスターの紹介風景

午後は NCSLI の Region Coordinators Meeting があり、早川会長と出席した。会議登録も午後からはじまり、夕刻には展示会場内で前夜祭が開催された。本シンポジウムは NCSLI が国際的な計量標準関連機関(BIPM、OIML、ISO、NMI)との連携により最先端計測技術の情報、計測標準技術の Knowledge Transfer 、不確かさ評価等についての最新情報を提供する場としての役割を果たすことにある。主な内容としては ISO 17025 の改正の話題と GUM の Update があった。

月曜日から木曜日までは、5会場でのパラレル・セッションにより、大別して以下の内容に分けられる。A.品質管理、B.技術開発、C.応用技術、D.国際的課題、E.招待講演。筆者は温度計測関連のセッションを中心に聴講した。この中で9.11 以降米国内空港での定点セルの移動(定点セルが弾丸に見える)が問題になっており、X線装置を通過させても大丈夫なセルの開発が話題となった。この他にプレナリー・セッション、昼食時でのランチョン・スピーチ、夜のパーティと期間中は盛り沢山の内容でスケジュールに追われた。今回のシンポジウムでは日本NCSLI の早川会長が、NCSLI の国際部門での貢献に対して受賞した。これは毎年秋に開催している日本NCSLI の技術フォーラムの活動が高く評価されたものと推察できる。
温度標準関連の機器を製造している HART SCIENTIFIC 社は、ソルトレイク市から南に約80km のAmerican Fork にある。当社の見学会は事前申し込みで、7/12 の夕方に見学登録者は2台のバスに分乗して出かけた。HART SCIENTIFIC 社の温度標準のPrimary Standard Lab とSecondary Standard Lab 及び R&D 部門を見学した後、同社からバスで30分程の山の中にある Sundance ski Resort で写真5のバーベキュー・パーティを楽しんだ。
写真5.Sundance SKI Resort にて
(左から藤間、 岡路(NMIJ),山崎(Agilent Technologies),筆者、 アチャラ(NIMT)の各氏)
写真6は TEMPLE SQUARE 内の20,000人収容の巨大なコンサートホールで、我々(早川会長、山崎(アジレント)、堀(元アンリツ)、小生)の4人で、シンポジウム終了後に早い夕食を済ませてコンサートを楽しんだ。今回は日本から20 数名の参加者があり、それぞれの立場でシンポジウムを堪能したことと思われる。
写真6.20,000 人収容のコンサートホール

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「計測標準フォーラム」第2回合同講演会
計測標準フォーラム第2回合同講演会は大田区産業プラザにおいて、500 余名の参加者を得て開催された。今回は日本NCSLI とNMIJ に(独)製品評価技術基盤機構認定センター、(社)日本計量振興協会、日本電気計器検定所、(社)日本計量機器工業連合会、(財)日本品質保証機構の5団体を加えた計量標準技術の総合的なフォーラムとなった。
写真7.受付担当者(500 名に対応可能な配置)
第1会場は400名収容では特別講演と基調講演に認定セッション及びユーザー・トレーサビリティ活用セッション、第2会場は180名で校正・計測管理セッション、第3会場は80名収容で国家計量標準セッションと法定計量および国際セッションとに分かれ、3会場 27件の講演が行われた。
写真8.事前登録者の受付状況

フォーラム開催にあたっては、会場確保から始まり、運営方法が検討され、今回は7つの団体がそれぞれ得意とする分野のセッションを担当し、このセッション責任者による打合わせ会議により演題と講演者が決まった。実務的問題に関しては日本NCSLI 幹事と NMIJ の井原氏が中心となり会場の設営、受付方法、講演会及び懇親会の運営等々における様々な予測可能な問題に対して、シュミレーションし、当日に備えた。
フォーラム当日は天気に恵まれ、不安材料の一つが解決され10時からのNCSLI 2004 President の Dave Agy 氏の特別講演「New Publications from NCSL International」(写真9)が始まる頃には第1会場が満席となった。特別講演終了後は認定、校正・計測管理及び国家計量標準の3セッションがパラレルで開催された。
写真9.Dave Agy 氏による特別講演

日本NCSLI が担当した校正・計測管理セッションの午前中は最近注目され始めた環境計測に主眼をおいたプログラムを組んだが、聴講者の反応は十分でなかった。認定及び国家計量標準セッションは関心が高く満席状態であった。今回も講演会と併設した展示会を開催した。昼食時間と午後の休憩時間が主な見学時間となり、少ない時間であったが展示会場にも多くの方が来られた。また、会場内に飲み物コーナーが無いこともあり、出展会社からのドリンクサービスは好評であった。午後の部は経済産業省の徳増氏の挨拶の後、(独)製品評価技術基盤機構認定センター長の瀬田勝男氏による基調講演「基準適合性分野の動向と計量」が行われた。
その後は午前中と同様に3会場に分かれ、ユーザー・トレーサビリティ活用、校正・計測管理、法定計量・国際の各セッションが行われた。日本NCSLI の午後の講演は実務的な計測手法や管理についての話題で聴講者の関心も高く、写真10のようにほぼ満席状態であった。
写真10.第2会場での講演の様子
第3会場での国際セッションも関心が高く、開場が狭い(最大100 名)ため、満席状態で会場外のロビーに、あらかじめ設置したおいたモニターTVで聴講された方も大勢いた。すべての講演が5時半に終了した後、出展会社の協力による懇親会が多くの参加者を得て行われた。また米国のNCSLI からもドアプライズ用の景品が送られてきており、抽選結果に参加者一同おおいに盛り上がった。
写真11.日本NCSLI 幹事及び2004 講演者
7時に運営スタッフにとっては長い1日がようやく終わり、会場を移して簡単な打ち上げを行い、無事に終了したことを喜び合った。今回のフォーラムの総参加者数は528名で、計測標準技術の裾がさらに広がり、この分野の技術の進展が期待できる。

(記) 尾出 順 / 東京都立産業技術研究所

写真12.打上げにてDave氏にビールを注がれる 西幹事(YRL)

 展示出展社

計測器展示
1. 横河電機(株)
2. (株)フルーク
3. アルファ・エレクトロニクス(株)
4. (株)日本熱電機製作所
5. 山里産業(株)
6. 林電工(株)
7. キーテクノ(株)
8. (独)産業技術総合研究所
カタログ展示
9. (独)製品評価技術基盤機構
10. トレーサビリティ研究協会
11. アジレント・テクノロジー(株)
12. オリックス・レンテック(株)
13. 日本電気計器検定所
14. 日本計量機器工業連合会
15. 日本品質保証機構
16. 電子情報技術産業協会
17. 日本計量振興協会

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