2023年11月2日(木)東京都大田区産業プラザPiOにて、第31回 日本NCSLI 技術フォーラムが開催されました。
今回、講演会では、本技術フォーラムの後援でもある国立研究開発法人産業技術総合研究所の講演をはじめとする8つのテーマの講演、展示会には計測器メーカーほか10社からの出展、校正機関ほか計測関連3団体のカタログ展示が行われ、コロナ渦明けに3年ぶりに開催された昨年より多く123名にご参加いただきました。
また、講演会の後には4年ぶりとなる懇親会も開催され、多くの参加者の皆様が交流や懇親の場を楽しまれました。
今回も講演者、参加者、運営協力者の皆様のご協力により成功裡に終えることができましたこと、この場を借りて御礼申し上げます。
講演会
サブミリグラム分銅の質量校正と自動校正装置の開発
国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター (NMIJ, AIST) 大田 由一
講演概要
近年、環境分析分野などで1 mgより小さな質量標準のニーズが高まっている。1 mgより小さなサブミリグラム分銅の質量を高精度に校正するためには分銅校正を自動で行うことが不可欠であるが、様々な形状の小さな分銅を自動搬送できる校正装置はなかった。そこで、サブミリグラム分銅を自動搬送可能な校正システムを開発した。その結果、世界の計量研究機関で最も小さな不確かさでの校正を実現することに成功した。
サブミリグラム分銅の質量校正と自動校正装置の開発
NMIJ 大田由一
サブミリグラム分銅の質量校正と自動校正装置の開発
真円度測定機の校正ならびに真円度測定機による幾何偏差測定
一般財団法人日本品質保証機構 (JQA) 川上 賢治郎
講演概要
エンジン部品、ベアリングや医療機器などの精密部品等、製品の加工精度が機能、性能、耐久性に大きな影響を与えるものにおいては、真円度、同軸度、円筒度等の幾何偏差の測定、加工方法の確立、継続的な管理などが求められる。真円度測定機は上述した部品管理に多用されており、自動車、航空機産業、医療機器業界を中心に認定校正の需要が高まってきている。一般財団法人日本品質保証機構(JQA)では2022年4月に国内初となる米国試験所認定協会(A2LA)による認定を取得した。本講演では認定取得に至った経緯や校正手順、トレーサビリティ及び不確かさ評価について述べる。また、同じくA2LAによる認定を取得した真円度測定機を用いた幾何偏差測定についても述べる。
真円度測定機の校正ならびに真円度測定機による幾何偏差測定真円度測定機の校正ならびに真円度測定機による幾何偏差測定
JQA 川上賢治郎
真円度測定機の校正ならびに真円度測定機による幾何偏差測定
グランド、シールド、ガードについて
株式会社テクトロニクス&フルーク フルーク社 吉田 達興
講演概要
電気計測において“Ground”、“Shield”、“Guard”の使用は基本的な技術であるが、これらの「適切な使用」又は、「不適切な使用」は精密測定の精度に影響を与える可能性がある。本講演では、不要な電流や放射信号を抑えるための“Ground”、“Shield”、“Guard”の適切な使用に関する実践的なヒントを説明する。
グランド、シールド、ガードについて
FLUKE 吉田達興
グランド、シールド、ガードについて
ガス中の微量水分測定のトレーサビリティ体系と二次標準器の開発
国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター (NMIJ, AIST) 阿部 恒
神栄テクノロジー株式会社 柴田 真一
講演概要
産業技術総合研究所(以下、産総研)で微量水分の国家標準を確立したことで、ガス中の微量水分測定の信頼性が飛躍的に向上している。産総研が独自の方法で開発し構築した、世界的にも注目がされている微量水分の国家標準とトレーサビリティ体系について紹介する。また、国家標準と産業現場を仲介する国産の二次標準器として、キャビティリングダウン分光法を用いた微量水分計『mini-CRDS』を開発したので紹介する。
ガス中の微量水分測定のトレーサビリティ体系と二次標準器の開発
NMIJ 阿部 恒
SHINEI 柴田真一
JEMICにおける湿度校正の現状と最近の範囲拡張
日本電気計器検定所 (JEMIC) 谷内 孝光
講演概要
JEMICでは、2015年から湿度測定器等の校正業務(一般校正)を開始し、現在に至るまでに順次、認定の取得、校正範囲の拡張及び校正対象の追加を行っている。本講演では、業務の概要を説明するとともに、最近の校正範囲の拡張について報告する。
JEMICにおける湿度校正の現状と最近の範囲拡張
JEMIC 谷内孝光
JEMICにおける湿度校正の現状と最近の範囲拡張
JCSSの現状と課題
独立行政法人製品評価技術基盤機構 認定センター (NITE, IAJapan) 大高 広明
講演概要
計量法校正事業者登録制度(Japan Calibration Service System, JCSS)は、1993年の設立後本年で30周年を迎えた。この30年間、校正に対する市場ニーズ、校正機関認定にかかる国際動向等への対応によりJCSS制度は様々な変遷、進化を遂げてきた。この30年の歩みと合わせ、JCSSの現状及び今後の展望・課題について紹介する。
JCSSの現状と課題
NITE 大高広明
JCSSの現状と課題
隔膜真空計の校正と膨張法による真空標準の構築
アズビル株式会社 片岡 俊之
講演概要
アズビルが製造・販売しているサファイア隔膜真空計の特性評価、信頼性及びトレーサビリティ確保のため、膨張法による真空領域の圧力発生装置を構築、真空標準として確立し、真空計のJCSS校正事業者として登録された。本講演では膨張法の測定原理から、校正の不確かさ要因とその対策について紹介する。
隔膜真空計の校正と膨張法による真空標準の構築
Azbil 片岡俊之
隔膜真空計の校正と膨張法による真空標準の構築
MHz帯への広帯域化に向けて開発中の電力標準の研究紹介
国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター (NMIJ, AIST) 山田 達司
講演概要
ますます広帯域化が進む高調波問題に加え、分散電源やEVの主要部であるインバータやモータ等の開発には、広帯域電力ノイズにおける高精度計測、軟磁性材料のロス評価における高精度な高周波電力計測が計測課題である。しかし、現状の電力標準は400 Hz~10 MHzの帯域が未整備であり、産総研では、MHz帯への広帯域化を目指して、分圧標準および位相標準の開発を中心に進めているので、これらについて紹介する。
MHz帯への広帯域化に向けて開発中の電力標準の研究紹介
NMIJ 山田達司
MHz帯への広帯域化に向けて開発中の電力標準の研究紹介
展示会
製品展示
- キーテクノ株式会社
「位相計、位相標準器、歪率計、AC/DC シャント」
- 株式会社大手技研
「圧力校正器、デジタル基準圧力計、気体流量用校正ターミナル」
- 三協インタナショナル株式会社
「Mensor製 圧力コントローラ、WIKA(ASL)製 温度校正器」
- 山里産業株式会社
「温度校正装置 精密デジタル温度計 microK/milliK SPRT 校正炉」
- 株式会社テクトロニクス&フルーク
「新しい校正器のご紹介」
- 神栄テクノロジー株式会社
「微量水分計 Dew Tracer mini CRDS-H2O、物流用小型ロガー、G-TAGシリーズ」
- 横河計測株式会社
「ディジタル圧力計、プロセスキャリブレータ、圧力キャリブレータ、他」
- アルファ・エレクトロニクス株式会社
「標準抵抗器」
- メジャーメンツ インターナショナル ジャパン株式会社
「温度ブリッジ 6020T」
- マキシメーター・フルード・テクノロジーズ株式会社
「Additel社 圧力、温度校正器」
山里産業
MI Japan
神栄テクノロジー
横河計測
アルファ・エレクトロニクス
FLUKE
マキシメーター・フルード・テクノロジーズ
カタログ展示
- 一般社団法人電子情報技術産業協会 (JEITA)
「JEITA概要パンフレット、計測トレーサビリティ専門委員会紹介フライヤー等」
- 一般財団法人日本品質保証機構 (JQA)
「ISO/IEC17025に基づく計測器の校正サービス」
- 日本電気計器検定所 (JEMIC)
「計測器校正に関するパンフレット」
2023年度総会の様子📸
日本NCSLI 2023年度総会
日本NCSLI 2023年度総会
日本NCSLI 2023年度総会
懇親会の様子📸
開催情報
【開催日時】2023年11月2日(木)
■講演会: 10:00~17:00
■展示会: 11:00~15:30
■懇親会: 17:00~18:30
■2023年度総会: 12:10~12:15
■フォトセッション: 12:15~12:20
【会場】大田区産業プラザPiO 4Fコンベンションホール(〒144-0035 東京都大田区南蒲田1-20-20)
【主催】日本NCSLI
【後援】国立研究開発法人 産業技術総合研究所
次回開催決定!
次回、第32回 日本NCSLI 技術フォーラムの開催日と会場も決定しました。
参加申込方法やプログラムなど詳細については、決まり次第公式サイトでお知らせいたします。
【開催日】2024年11月14日(木)
【会場】大田区産業プラザPiO 4Fコンベンションホール(〒144-0035 東京都大田区南蒲田1-20-20)
第32回 日本NCSLI 技術フォーラム 開催決定のお知らせ
関連